[開業基礎知識Vol.1]デリヘル運営につきまとうリスクとは?(身内バレ・情報流出・反社会勢力)

風俗経営基礎知識

質問者「でも正直、やるとなるとまだ不安なことはあるんですよね~~」

フーコム案内人「初めてのチャレンジなら当然だと思います。たとえば、どんなことが不安ですか?」

質問者「個人的な話で恥ずかしいんですが、まずは身内にバレたくないんですよね・・・」

デリヘル経営者でも身内バレは気にする?

風俗・デリヘルが風俗営業適正化法の下で認められている職業とはいえ、そこに従事していることを明かしたくない、という人はまだまだ大勢います。法や条例で認められていても「公序良俗に反している」というイメージが完全に払拭されていないからです。

身内バレに対する危機感は、広告上でビジュアルを晒す女の子がもっともデリケートになるもの。とはいえ男性スタッフや経営者であっても、風俗業に関わっていることを積極的に公開しようとする人はごく少数です。

しかし、警察に提出する届出書に自分の名前が載っているとして、それが一般公開されることはありません。また、どの店舗ホームページを見ても明らかですが、経営者の名前を記載しなければ営業できないようなルールも慣習もありません。ユーザーの信頼を得るために店長さんが名前を出してコンテンツに露出しているケースもありますが、その多くは仮名(女の子でいう源氏名)だと思われます。

なので経営者の実名が意図せず第3者にバレてしまうことはほぼ無いでしょう。それよりはキャストのプライバシーに気を遣ってあげるほうが良いですね。

近親者にバレてしまった希少なケース

あとは近親者に関しては、理解がある方であれば報告しておくのも良いかと思います。ちょっと昔話になってしまうのですが、実体験のケースをお話ししましょう。

あるとき、私の知り合いの経営者の方が禁止区域の営業によって逮捕されてしまいました。ちょうど無許可の店舗型の取り締まりが厳しくなった頃ですね。その方はやはり近親者にも風俗店経営を明かしておらず、そういった事情もあって留置所面会の要望がまず私のところに来ました。

私も事情は察していましたので面会に伺ったのですが、じつはその方、生活拠点ではご両親と同居されていたんですね。結局はご両親が心配して捜索願いを出されてしまい…というような話です(笑)。ものすごく珍しいケースですが、身内バレのタイミングとしては最悪だったと思います。

質問者「やっぱり誰かしらに伝えておく必要はありそうですね」

フーコム案内人「摘発や逮捕というのは極端ですが、病気や事故に遭う可能性もゼロではないですからね」

店舗全体へのセキュリティ意識向上へ

「近親者にも言いづらい」という気持ちは理解できますが、もしものことを考えて、やはり信頼できる人には伝えておくのが良いのではないでしょうか。また自身がそういった悩みを持つことで、キャストの身内バレにも親身になってあげられたり、店舗運営におけるセキュリティー意識が高まっていくのは良いことだと思います。

風俗・デリヘル店にとっては、女の子のみならずお客様の個人情報も大事にしなければいけない情報です。とくに顧客情報の流出は大きなリスクとなります。

デリヘル店の顧客情報管理は、これまで後回しにされがちでした。しかし顧客情報が漏洩してしまった場合は恐喝や詐欺にも流用されかねません。そのリストを手に入れる者は、それが顧客にとって「知られたくない」「知られたら困る」というポイントに目をつけて利用します。そのため近年では風俗店でも顧客情報の管理が厳重におこなわれるようになってきました。

風俗・デリヘル業界の反社会勢力とコンプライアンス

そして、コンプライアンス・法令遵守の視点から【反社会勢力との付き合い】もリスクになります。ここでいう反社会勢力とは、暴力団やその関係企業など「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」を指します。

近年、反社会勢力が経営そのものに関わるケースは大幅に減りました。デリヘルが無店舗型風俗特殊営業として風営法に加わったのが1999年。その黎明期には反社会勢力が積極的にデリヘル店経営を試みたようですが、デリヘル自体の店舗数の増加により競争が激化し「そう簡単に稼げるものではない=シノギとしてのメリットが少ない」という認識が広まったようです。

もうひとつ「お店が反社会勢力にみかじめ料を払う」形態での関与があります。土地柄によってこの慣習の浸透度はまちまちですが、2011年から暴力団排除条例が施行されたことにより、みかじめ料を払う側にも罰則が適用されるようになりました。

仕方なく払っていたとしても「暴力団の資金源」だとみなされてしまうわけです。名目としては「場所代」「用心棒代」といったところですが、家賃を払ってまっとうな営業をしているお店側からすれば不合理な要求に他なりません。

警察の積極的な動きもあり、みかじめ料を払うお店は年々減少しています。いまは【風俗=ヤクザ】といった先入観もようやく前時代的なイメージになりつつあります。

質問者「そう考えると自分のこと以上に重要なものが多いですね」

フーコム案内人「そうですね。業界全体でセキュリティーやコンプライアンス意識が高まれば、業種そのものの地位向上にも繋がっていきますね」

この記事のまとめ

・嬢だけでなく、経営者でも身内バレを気にする人はいる
・お店を運営するのに、経営者が実名を公表する必要はない
・もしものときのために、経営者の仕事内容を知っている人はいたほうが良い
・顧客情報の漏洩対策など、お店全体のセキュリティ意識も重要
・反社会勢力との付き合いはコンプライアンスの視点からNG