[開業基礎知識Vol.2]続・デリヘル運営につきまとうリスクとは?(摘発や逮捕について)

風俗経営基礎知識

質問者「よくニュースで風俗店の摘発情報を見かけるんですが、あれはどうしてですか?」

フーコム案内人「風俗・デリヘル店が摘発されるケースは本当にさまざまです。いずれも営業停止や取消処分の対象となり、経営者が逮捕されることもあります。よく見かける例を抜粋してみましょうか」

●お店による管理売春(本番行為)
●未成年の女性を働かせていた
●営業禁止区域での営業

お店による管理売春(本番行為)

基本的なルールとしてデリヘルでは本番禁止、というのは誰もが知っていることですよね。にもかかわらず一部のお客さんは「あわよくば…」という気持ちをもっていますし、その心理を利用して集客しようとするお店もあります。

そこでお店側が女の子に本番行為を強要しているとすれば「売春のあっせん」ということになります。たとえそんなマニュアルや積極的な強要がない場合でも、売春による摘発リスクは内在しています。

もし女の子が個人的にお客さんと売春行為をおこなっていたとしても、かならず悪い噂はたちます。またそれをお店側が女の子に対して推奨しているのであれば、管理売春になってしまいます。老舗店・有名店ではキャストに対する指導を徹底的におこなっています。

たとえお店が関知しない個人売春の範疇であったとしても、それがお店のサービスとして提供されてしまった場合、お店側が本番行為を黙認あるいは承認していたと見なされかねないからです。

「女の子によってはある程度サービス内容に違いがあるから…」という考え方も、本番行為に関してはひじょうに危険です。ある女の子が本番サービスを許容しているばかりに、ユーザーが「あのお店はヤレる店」というような認識をしてしまうと、他のキャストにも執拗な本番強要が頻繁になってしまいます。当然、そのお店へのキャスト定着率が下がってしまい、日々の運営には大きなリスクとなってしまいます。

未成年の女性を働かせていた

よほど悪質な経営者でなければ、自ら未成年を働かせようという発想にはなりません。しかし摘発のニュースとしてはよく聞く話です。なかには「どうせバレないだろう」という甘い考えで未成年を働かせている経営者もいるでしょうが、知らないうちに未成年者を働かせていたというケースも稀ではありません。

女の子にとって性風俗に従事することによる対価・報酬は、他業種と比較すれば格段に大きな金額です。なので年齢的な制限を飛び越えてまで風俗やデリヘルで働こうとする未成年者も少なからずいます。ですからキャストの面接・入店時には厳密な身分証チェックが必要です。

なかには年齢の近い身内の身分証でごまかされた、というケースもありました。顔写真も含めて確認することは必須条件でしょう。たとえば住民票だけでなく、運転免許証やパスポート、あるいは写真付きの住民基本台帳カードで複合的に身分確認することをお勧めします。

こういった資料を揃えることは決して無駄ではなく、営業所ごとに備え付けが必要な【従業者名簿】作成のためにも決して怠ってはいけない作業です。

質問者「お店側が認識してないのに違反を犯しているケースもあるんですね…」

フーコム案内人「サービス内容だけに注意するのではなく、従業員管理・マネジメントも重要になりますね」

営業禁止エリアでの営業

風俗店は、風営法による営業禁止区域、および各都道府県条例による営業禁止地域では営業できないことになっています。この取り決めは主に店舗型風俗が気にすべき条件で、届出書の受理された事務所で営業するデリヘルには無関係にも思えますが、摘発された事例では意外にもデリヘルが多く関係しています。

無店舗型風俗のデリヘルは特定のプレイルームを持たず、自宅やホテル、あるいはレンタルルームに派遣する業態ですが、なかには事務所近くでマンションの一室などを借り切って営業しているお店がごく少数あります。

そうすることでより効率的に、また場合によっては客単価も抑えて営業できるのが狙いでしょう。しかし無店舗型にもかかわらずプレイルームを設置すれば、これは禁止区域あるいは禁止地域の営業に抵触してしまいます。

そもそもマニアックなプレイを売りとするお店が、なんの届出も提出せず、ひっそりと個室を持って営業していたケースも多々あります。かと思えば、デリヘル店が実質的にレンタルルームを同時運営していたことが表面化し、摘発に至るケースもあるのです。

このような摘発情報がニュース化される際には、プレイの特殊性であったり「お店がいくら儲けていた」というようなディテールばかりが強調されます。しかし摘発の本質的な理由はしっかり把握しておきたいですね。

その他のリスクと、風営法違反にならないために

上記以外でデリヘルに摘発リスクがあるとすれば、前回の【第3回・デリヘル運営につきまとうリスクとは?(身内バレ・情報流出・反社会勢力)】で述べた反社会勢力との付き合いや、脱税関係が挙げられます。そして、風営法は現在の社会環境に合わせて改正されていくものです。

風営法がカバーする範囲は性風俗だけでなく多岐にわたりますが、自らの店舗運営にかかわる重要な改正は見過ごせません。改正やその施行を控えた時期には業界内でも大きな話題となりますが、常日頃より気にかけておいて損はないでしょう

この記事のまとめ

・風俗・デリヘル店の摘発例は【管理売春(本番行為)】【未成年雇用】【禁止エリアでの営業】がメイン
・女の子の個人的な売春行為もお店側の重大なリスクになる
・未成年雇用を防ぐには入店時にきちんとした身分証チェックを
・デリヘルでも営業方針によっては「禁止エリアの営業」に抵触してしまうことがある
・風営法は変化していくもの。定期的な情報収集を欠かさずに