[業界トピックスVol.10]風俗専門の行政書士 渡辺人支氏インタビュー#1

業界トピックス

今回は風俗専門の行政書士「渡辺人支事務所」所長・渡辺人支氏をお招きし、風俗専門の行政書士とはどんな職業か、デリヘル許可申請のノウハウについてお伺いしました。

行政書士になりたかった訳では・・・

(渡辺氏)正直な話、行政書士になりたくてなった訳ではないのですが、学卒いずれは自分で商売をしようと思っていて商事会社に就職しました。しかし一番長く担当した建築関係だと当時は凄く決済条件が長く、月末締め翌々月末払い、6ヶ月手形という感じで1年分の売り上げ分の資金が必要でした。

そんなときに、私が開発したお客さんが倒産する騒ぎがあって。倒産にあたって会社上は1億円ぐらいの債権があったんですが、最終的に2000万円程度で納めたんです。毎月、当然会社の稟議は通しながらやっていて、会社から責められる訳でもなく、その後処理、つまり敗戦処理が非常に上手くいったんです。そこで法務部の方に目を付けられまして、ずいぶんできるなって話で引っ張られて法務部に移って1年くらいいたその間に、こういう資格商売っていうのがあるんだということを知りました。そこで行政書士を受けてみたら受かったので、退職しました。

―――お酒がお好きと聞いていますが、飲食関連でなく、風俗関連のお店を手掛けていらっしゃる?

(渡辺氏)建設業許可関係の仕事をやるつもりでいたのですが、来るもの拒まずでやっていたらいつの間にか風営法関係になっていましたね。もっとも許可を要する風俗営業は社交飲食店が主ですね。

お酒も元々人と集まって、というよりは一人で静かにバーで飲むことが多かったです。独立志向が強いからかどうかは別として、サラリーマンがよく赤ちょうちん行くだとか、仕事が終わったら飲みに行くとかいう感じでも無かったです。それでいうと、お客様のところでお酒を飲むのを自慢している風俗営業関連の行政書士さんが時々いるんです。どんなものかなとか思うんですけど、完全に自分は、仕事は仕事で遊びと一緒にしていないです。

まして私が銀座や赤坂のお客様の店で飲んでいたら渡辺先生があそこの店に入ったなんて言われて、ココもあそこもと収拾がつかなくなってしまいます。毎日、何件も飲み歩くわけにもいきませんし(笑)

どういう人が成功しますか失敗しますか、というのがありましたが、どの業界もそうですけど、趣味とないまぜにしているとなかなか難しいようです。デリヘルだとして、例えばデリヘルが好きだからとか、性風俗が好きだからとか。女の子と付き合えるかなとか。オーナーシップでそこに女の子が入ってきてみたいな感じでやるのは、失敗する場合が多いです。私もバー、クラブ、キャバクラなどがお客さんですが、そのお客さんのところで遊ぶことはないですね。

―――仕事は仕事でちゃんとというか、そこで好きだからっていうだけじゃ駄目ってことですかね。

例えば、女の子が好きだからデリヘルをやるってなったら、好きな人を派遣するのって事になりますよね。実際、お客さんのところに同級生の女の子が来て慌てているみたいな事ありましたけど。

デリヘル開業届申請のノウハウについて

―――デリヘルの開業届申請を不慣れな人が行くと結構、警察に邪険に扱われるというのを聞きます。実際そうなのでしょうか。

(渡辺氏)風営関係の許可・届出を受ける担当官は、許可を出すこと、届出を受理することのみが仕事ではなく取り締まりも大きな仕事です。そこへ書類は出来ているからと安易なもの、または法の趣旨にそぐわないものを持っていけば「これ、なんですか?!」ってなりますよね。そうなると「上から目線で対応された」という印象を持ってしまうことになるようです。

―――例えば新宿で開業しますとなれば新宿警察署に行くんですよね。新宿警察署に書類を持っていって、そこからまた別の機関に行くんですかね。

(渡辺氏)営業許可だと必ず本庁に行きます。つまり警視庁で最終的に良い悪いを判断します。性風俗の場合、届出なので基本は所轄だけです。営業者が嫌な思いをしたと思うのは、さきほど申し上げたように「風俗営業等の業務の適正化」に合致しているとスムーズに受け止められ難いケースパターンですね。

―――増やしたくないから邪険にされるという噂が?

(渡辺氏)デリヘルを増やさないなどを考えるのは警察行政のすることで、所轄の担当者のマターではないです。所轄署が責任を負うのは「その営業に関してトラブルが生じないこと」です。例えば行政書士のキャリア、風俗営業をやっている人で言えば、平成18年はもうずいぶん前じゃないですか。その20年近く前に大改正があって、受付所だとか待機所が明記され、どういう風にやるやらない、必ず使用承諾書をつけさせるとか、建物登記を付けさせるようになりました。それは出店を抑制するというか、そう安易には始められないよう、営業者の周辺、事務所を持つビル、地域、その周辺の居住者、また利用されるお客様との間にトラブルが起きない事を行政は考えているのです。地域規制の他に、建物の登記上の所有者から使用承諾書を持って来させるというのもその一つの方法ですね。

当時、僕らは違法なデリヘルみんな潰すつもりでやっているから。違法なら2ヶ月以内に潰すよ」ということもありました店舗型のくせに、受付所や待機所と称したものを作りまくったり、提携した部屋が有ったりしたら、もうそんなの店舗型と同じで完全に違法だろうとなってなりますよね。

しかし、デリバリーヘルスの手続きそのものは簡単です。紙の枚数も少ないし、難易度も低く、図面も極めて簡単なものしか必要ありません。普通の風俗営業の申請と比べ物にならないくらい簡単なので、正直誰でもできます。

駆け出しの行政書士で風俗営業の許可申請ができないでも無店舗型の性風俗は出来ます。でも同じ性風俗でも店舗型は大きく異なります。地域規制も求められる書類の精度・分量も。そして風俗営業であり、性風俗営業でありがどのような変遷を経て現状の届出制、届出方法になってきたかを知らずに「どうせ受理される。当局は受理しなければならない」という考え違いの行政書士にはならないよう、私が行政書士へ研修会を行うときは話しています。

安ければ良い、受理されればそれで良い、という行政書士は結局そのレベルだということです。それで通用してしまっている現状はどうでしょう。勘違いして安請け合いしてしまって、金額的にもギリギリでやっているのが、デリヘルをやっている行政書士の現状じゃないかと思います。

デリヘルが良いとか悪いとか好きとか嫌いという話ではありません。現実に平成18法改正のとき大量に依頼がありました。その時からずっと繋がっている大事なお客さんが、20年近い付き合いのお互いに信頼しあっているお客さんがいるわけです。一般的な風俗営業をやっている行政書士で私と同じレベルでやっている人は、目線や考え方が似ています。デリヘルしかやっていない人になってしまうと、手続きそのものを舐めているというか、考え違いをしている、そして警察の窓口で口論になっていたり・・・結果的に、その頃の警察官もまだいるわけですし、ジョブローテーションがあっても生活安全課の中で動いているとか、また戻ってきたというのもあるんです。そういう人達の考え方がどういう意味なのか、わかっていなかったりします。届出を軟着陸できないとかってなりますね。

 「風俗営業法」って「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律が正式名称です。半世紀以上のの変遷があります。風俗関係への行政の視点では江戸時代以前からの流れが有って今のこの法律になっているのです。風俗営業を取り締まるとか逆に許可するとかが目的ではなく、その営業において「業務の適正化」のための法律となったのです。全くれに気づかずにスルーしている方々がほとんどですが、営業する方も、申請・届出する者・書士もこのことを判って行うことがポイントです。

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[業界トピックスVol.11]風俗専門の行政書士 渡辺人支氏インタビュー#2

『行政書士渡辺人支事務所』 渡辺氏

風俗営業の許可申請を専門とし、確実な申請・届出、誤りの無い営業アドバイスをモットーにする行政書士事務所。今までに風俗営業を専門に3000件以上の申請実績を元に関東エリアを中心に活動している。風俗営業の開業は面倒なことも多い為「どこよりも早く、確実に申請業務を行う」その姿勢は多くの風俗経営者に支持されている。

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