[ジャンルを学ぶVol.3]ソープランドってどんな風俗?

風俗経営基礎知識

あらゆる業種・ジャンルが存在する風俗業界で“風俗の王様”と呼ばれているのが『ソープランド』です。『ソープ』と略されたり、『特殊浴場』、『個室サウナ』、『高級サウナ』などとも呼ばれています。この記事ではソープランドという業種について詳しく紹介しています。

風営法上のソープランド

法律上の位置づけとしては、風適法に定める店舗型性風俗特殊営業になります。適法第2条第6項1号では「浴場業(公衆浴場法 (昭和二十三年法律第百三十九号)第一条第一項 に規定する公衆浴場を業として経営することをいう)の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業」と定義されています。これは公衆浴場としての条件も満たす必要もあって、保健所の検査が行われます。

また、大義名分としての公衆浴場ではありますが“個室付き特殊浴場”と呼ばれているのは、サービス内容が特殊なのではなく、通常の銭湯などの施設に対して、かつてはサウナ設備を特殊なものとしていた名残りです。そのため、個室には必ずサウナ施設がありました。現在は公衆浴場法が改正され、特殊浴場という規定はなくなっています。

そして、風営法では1号営業と定められており、他の風俗店と比較して規制が非常に厳しくなっています。現在、各地方自治体の条例などによりほとんどの地域で新規出店が不可能です。しかし、改修は可能ですから、新規参入などの場合はもともとあった店舗を借り、それを改修しての営業となります。またこの際、全面改修は新築とみなされるので、内装工事と外装工事は分けて行うことがソープランド業界の習わしです。

ソープランドにおけるサービスとは?

表向きはソープランド(店舗)側が女性に場所を提供して、その女性が客の入浴をサポートしたり、マッサージを行う場所という位置づけになっています。利用方法としてユーザーはまず、施設の利用料金として店側に“入浴料金”を支払います。加えて女性に“サービス料金”を支払うことで、個室内で行われるサービスは女性個人の自由意思によるものだという解釈が主流です。つまり、表向きは風俗ではないということになりますが、最近では受付で一括払いという店がほとんどのようです。

サービス内容としては、「あくまでもサービスを施す女性による」としか書けませんが、浴室でいわゆるスケベイスに座らされて身体を洗われたり、浴槽に一緒に入ったり、ベッドでマッサージを受けます。しかし、あくまでもサービス内容は女性の意志の自由に基づきますので、ファッションヘルスやデリバリーヘルスではご法度とされている“濃厚な”サービスも行われ、それゆえに風俗の王様と呼ばれる所以です。

そのサービス内容としては、歴史背景として、ソープランドが密集するエリアの多くが、かつては遊郭、そして赤線・青線区域だったことがあり、その流れを受け継いでいることが挙げられます。その名残りの一つとして、かつてのソープランドで働く女性はサービスの中にキスは入っていませんでした。これは「体を売っても心は売らない」という信念に基づく暗黙の了解でしたが、今となっては昔の話。昨今では恋人的な雰囲気の演出としてキスを行う女性がほとんどのようです。

かつてはトルコと呼ばれていた

そもそもソープランドの発祥は、中東式のサウナ風呂に垢すりのついたサービスが、1951年に「トルコ風呂」という名称で流行したことから始まります。日本ではこの垢すりを女性が担い人気に火が付いたため、当初はシンプルで健全だったサービスはどんどん過激に。「泡おどり」「マットサービス」といったソープランドならではの定番も徐々に確立していきます。また1958年には売春防止法の完全施行により赤線が廃止され、吉原などの店舗は「浴場」の届出をもってトルコ風呂に転業していきました。

こうして通称「トルコ」として定着してから30余年、1984年にトルコ人留学生から厚生労働省にクレームが入ったことにより、公募を経て「ソープランド」に改称されました。ちなみにこのとき、トルコ人留学生をサポートして厚労省に働きかけたのが、当時まだテレビキャスターだった小池百合子氏です。

料金価格帯と地域的な特徴

ソープランドのランク付けとしては、60分前後で2万円以下の大衆店。90分前後で3万円から5万円の中級店。120分以上で5万円以上の高級店といった、おおよそのランク付けがあります。しかし、最近では総額7万円以上の超高級店と呼ばれる店がある一方で、40分で7,000円という激安店もあったりと、そのランクも曖昧なものになりつつあるようです。

また、地域的な特徴としては、「東の吉原、西の福原」と呼ばれるほど、この2つのエリアが突出した感があります。吉原がソープランド本来のサービス内容重視であることに対して、福原はそれに加えてイメージクラブ的なカジュアルコンセプトを打ち出すお店が多いことも特徴です。最近では、吉原にもコンセプトソープランドが増えていますが、これが福原の流れを汲んだものでしょう。

なお、中国地方の一部エリアでは普通のファッションヘルスでマットサービスがあるところをソープランドと呼んだり、その他のエリアでも『駅前ソープ』と呼び、ソープランド本来のサービスを行わない店も存在します。これらのお店で働いていた女性がソープランドで働き、その内容に驚いてしまうケースも稀にありますので、採用する側としては女性の出身地、バックボーンにも気を付けたいところです。

ソープランド業界の移り変わり

既得権としての店舗現場がある反面、前述のとおり改修のハードルは高いソープランド。そのため、いまでも各地で手入れの行き届いていない(ようにみえる)店舗現場が多数存在します。細々と営業を維持していたそれらの店舗でも、2000年を過ぎたあたりから経営に行き詰まるところが増えてきました。

そして2005年を過ぎたあたりから、これまでデリヘルで成功してきた経営者や、浄化作戦により店舗を失った性感・イメクラ業者など、資本力のある経営者が古いソープランドを改修して新たに運営するケースが増えてきました。このころから総額1万5千円前後の激安店も目立ってくるようになり、長らく固定化されたイメージのあった業界に新陳代謝が生まれるようになりました。

どうでしたか? さすが風俗の王様と言われるソープランド。その歴史も重厚ですよね。最近では各地で新店が誕生する機会も増えてきました。ユーザー視点でも経営者視点でも、やはり憧れの業種といえるでしょう。