襟を正すという言い回しがある。それまでの態度を改めて気持ちを引き締める。気持を引き締めて物事に当たるという態度を示す。という意味である。今回の改正風営法はまさに業界自身の襟を正すきっかけになるであろうし、この新しいルール(改正風営法)に対応できなければ、業界からの退場を余儀なくされる。
デリヘル業界の現状と風営法の位置づけ
ある意味デリヘル業界は、白か黒かを曖昧にしたまま、グレーな存在として世間から認知され、我々自身も行政もその曖昧さを受け入れてきた。風俗店は実質免許事業であるにもかかわらず、認可事業である。公安委員会に風俗店をやりたいですと届け出をすれば、その経営者は公安委員会にバックグランドチェックをされ、認可しましたとも許可しましたとも言われずに、届け出を出したことの確認書「無店舗型性風俗特殊株営業届出確認書」が発行される。これが風俗経営者に与えられた風俗経営の免許(もどきだ)。
しかし、そんな曖昧さに甘えてきた我々にも、経営の在り方に白黒をつけなければならない時代が訪れた。しかも自主努力により変わったわけではなく、社会的な圧力により変わる事になりました。中には真面目な経営者は、経営に対して白く、清くやってきましたと胸を晴れる人もいらっしゃるでしょう。しかし風営法が改正されるまでの一連の報道が業界に対しての社会からの評価となってしまいました。
改正風営法へのスタンスと問題意識
今回の改正風営法に対していろいろな意見はあるであろう。個人的な考えとしては、賛成である。スカウトが連れてきた女の子が借金のかたに風俗店に強制的に連れてこられたとしたら、経営者としても胸糞悪い。「私は、女性の人生を踏み台にして成り立つ経営には賛同できない。」スカウト、ホスト問題を終止符をつけ、業界を白くしていくためにも、この改正風営法を掘り下げていく必要性を強く感じている。
改正風営法の影響と求められる対応
今回の改正では、これまで黙認されていたスカウトバック(スカウトが紹介料を受け取る行為)への規制が強化され、違法スカウトの温床となっていたグレーゾーンが消滅し、適正な採用活動が求められるようになる。ホストクラブを中心に問題となっていた「売掛金」を使った不正請求も禁止される。さらに、借金を背負わされ、働かざるを得ない状況をなくすため、店舗側にも責任が求められ、無理な長時間勤務や、不透明な給与システムの改善が必要となる。違反した場合には、無許可営業の法人に最大3億円の罰金が科される可能性もあり、風営法違反が業界全体の信用に直結するため、運営側も管理体制を強化しなければならない。
今後の戦略と経営者の責任
これからの風俗経営には、SNSや合法的な求人媒体を活用し、透明性のある採用活動を行うことが求められる。スカウト頼りの採用は根本的に見直し、健全な採用フローを構築しなければならない。
給与や待遇を明確にし、働く女性が安心できる環境を作ることも重要だ。相談窓口を設置し、トラブルがあった場合にすぐ対応できる体制を整えることで、キャストの保護とサポートが実現される。さらに、従業員向けに定期的な法令遵守研修を実施し、リスク管理を強化すること、違法行為が発覚した場合の対応マニュアルを整備することも欠かせない。
まとめ:業界が生き残るために
今回の改正風営法は、デリヘル業界にとって避けて通れない変革の波である。グレーゾーンのままでは生き残ることは難しく、これを機に透明性の高い経営へと移行しなければならない。我々は襟を正し、業界全体をより健全な方向へ導く責任を持っている。それが、これからの風俗業界が存続し続けるための唯一の道なのだ。