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女風(じょふう)の現在地──女性向け風俗、その可能性と経営のリアル
かつて「風俗」といえば、男性が利用するサービスを指すのが常識でした。
しかし近年、SNSや検索ワードでじわじわと浸透してきたのが「女風(じょふう)」という言葉。
“女性向け風俗”の略称であり、女性が男性セラピスト(キャスト)から性的な癒しを受けるサービスを指します。
この分野は、長らくニッチな存在に留まっていましたが、近年は明らかに状況が変わりつつあります。
その象徴ともいえるのが、講談社から出版された漫画
『僕は春をひさぐ~女風セラピストの日常~』。
この作品が話題となったことで、女風の世界が一般層にも“見える化”され、「セラピスト」という存在が少しずつ社会的に認知されてきました。
女風とは、何を提供するサービスなのか?
「女性向けの性サービス」と言うと過激に聞こえるかもしれませんが、実際には本番行為は禁止されており、プレイ内容は、性感マッサージ、クンニ、添い寝、会話などが中心。
いわば「心と身体に触れる癒しの時間」を丁寧に提供する業態です。
ポイントは、肉体的な快楽以上に“承認”と“安心”が求められていること。
「女として見られたい」「ちゃんと触れてもらいたい」「話を聞いてほしい」といった気持ちが根底にあり、それに応えるのが女風セラピストの仕事です。
女風に需要はあるのか?
答えはYESです。
「女風 東京」「女風 初めて」などの検索ボリュームは年々増加傾向にあり、SNS上では体験談が多く共有され、リアルな口コミが信頼につながる時代になっています。
主な利用者は30代~50代の女性。
未婚・既婚を問わず、セックスレスや孤独感、自己肯定感の低下に悩む女性がターゲットになります。
もはや“変わった趣味”ではなく、心のメンテナンス手段の一つとして女風を選ぶ女性が増えているのです。
男性向け風俗と大きく違う点──セラピストはマイナスからのスタート
ここで、女風の最大の特徴とも言えるポイントを一つ挙げましょう。
それは、**セラピスト希望者が「講習費を払ってから仕事を始める」**ということです。
多くの女風店では、セラピストとしてデビューする前に、**有料の講習(3万円~15万円)**を義務づけています。
内容は性感マッサージ技術や接客マナー、衛生管理、コミュニケーション術、メンタル面の教育など、広範囲にわたります。
これは、男性向けデリヘルの女性キャストが基本無料で講習を受けられるのと、非常に対照的です。
つまり、女風セラピストは“稼ぐ”どころか、マイナスからスタートする覚悟が必要な職業なのです。
この仕組みには2つの意味があります。
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1つは、「本気でやりたい人」だけを集めるための覚悟のフィルター
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もう1つは、未経験者を現場で通用するレベルに育てるための現実的な育成コスト
経営者としては、講習費を徴収することで「儲ける」のではなく、“本物を育てる”ための時間と手間に対する対価として位置づけています。
実際、お金を払っても脱落する人もいます。逆に、丁寧な講習を経て、指名の絶えない人気セラピストになる人もいます。
講習費は単なる投資であり、そこからどう育てていくかが、経営者の腕の見せどころです。
運営は、誠実でなければ続かない
女風のお客様は、「性」だけではなく「信頼関係」や「尊重」を求めています。
だからこそ、予約の対応ひとつ、セラピストの言葉遣いひとつがクレームに発展することもあります。
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遅刻への対応
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清潔感の管理
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口コミやSNSへの配慮
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トラブル発生時の即時対応
こうした1つひとつが、“おもてなし産業としての風俗”である女風を支えているのです。
男性向け風俗のような“高回転・高収益モデル”とは違い、一人ひとりのお客様と、いかに誠実に向き合えるかが経営の軸となります。
女風には未来がある
女風は、単なる風俗業の変化形ではありません。
それは、「女性が自分の性に正直であること」や「心の癒しを求めること」が認められてきた時代背景と密接に結びついたサービスです。
セラピストたちは、“抜かせる技術”よりも、“心に寄り添う姿勢”を大切にします。
そして、私たち経営者は、その土台となる講習制度・環境・リスク管理を、真摯に整えなければいけません。
最後に
風俗業界の中でも、女風は最も誠実さと人間力を試される領域です。
それだけに、うまく機能すれば**「女性を幸せにする仕事」として、社会的にも意義のある存在**になり得ます。
「女風」とは、社会が女性の孤独や癒しをどう扱っていくのかという、
私たち自身の“成熟”が問われるサービスなのかもしれません。