「贅沢なひと時」グループ オーナー 浅野氏 #2 【大赤字のお店を黒字転換させて、さらに高みへ】

経営者インタビュー

「経営者インタビュー」とは、風俗業界の第一線で活躍する風俗店経営者の方々にインタビューをして、その成功の秘訣や経営理念を探っていく企画です。ミドルリッチをターゲットとした高級デリヘル「贅沢なひと時」を中心に経営を行っている浅野氏にお話を伺います。大赤字のお店の経営から始まった浅野氏の経営者人生、その後どうなったのでしょうか。

前回の記事はこちら【歌舞伎町に憧れて、デリヘル経営に行きつく】

長期的なビジョンは感性に頼ってはならない

―――浅野さん、大赤字のお店を黒字転換させた要因は、どういったところにあったんでしょうか

(浅野氏)短期的にというよりは、長く私のお店に関わってくれる人達はこの組織で老後まで面倒を見られるという運営という事を、結構大事にしています。短期的によければいい、利益の今日の最大化というより、コンテンツとして、さらに言えば商売の仕方として永続性が高いやり方を意識しています。端的に言えば、感性で勝負しちゃ駄目だと思っているんです。理由は二つあって、一つは感性っていうのはある日突然衰える可能性がある。もう一つは教える事ができない。責任者は決断をしなければならない、そして決断の責任を取らないといけないんです。だから、どっちがマシかっていう決断をたくさんしないといけない。どっちがイイじゃなくて、どっちの方がマシ。しかも、その決断を極限状況でしないといけない。そのときに大事にしているのは、ブレないテーマとかルール、判断軸っていうのをいくつか決めておいて、それに沿って決断をする。そういうのをすごく大事にしています。

―――なるほど、判断軸、ですね

(浅野氏)例えばその日々の運営のテーマの一つであれば「ルールの範囲内で遊んでくださるお客様に、今までで一番楽しかったと感じてもらえるおもてなしを提供する」。こういうのが一つの大きな判断軸、それを達成できている判断であれば正解だし、逆にそれと衝突してしまうのであれば、そういう決断はできない。部下が何かを決めたときっていうのも、それに沿っているのが沿っていないのか。他に大きな判断軸としてあるのは、その判断は店を良くするか、より魅力的なものにするか。簡単な例で言うと、皆が気を遣って言えないことがある先輩スタッフが居たとします。その先輩を嫌がっているキャストが居た場合、場の調和を優先してそれを注意出来ないっていうのは、うちの会社ではありえない。店を良くするっていうのが、我々がここに居る目的なので、店が良くなるために指摘した方がいいことは、指摘をしよう。

―――それは、従業員・スタッフのモチベーションにも繋がりますね

(浅野氏)それはいつも考えています。頑張っている人が報われる。これも大きな判断軸です。裏を返せばズルした人は絶対に報われない。他には、みんなに説明ができる。お金に関わることとか待遇に関わること。キャスト、スタッフ、ドライバー全てに関して、なぜこの人が昇給したのかっていうのがみんなに説明ができる。人事評価に関しては、なんとなく僕と仲が良さそうに見えているから、縁故でそういうふうにしたとかではなく、みんなに説明できるルールで頑張っている人が報われるようにというところは意識をしていますね。

―――女性キャストについてはどうですか

(浅野氏)お店の運営って、ステージがあるんですよ。0から11から5050から1003段階に分ける。0から1は店の存在が認知をされるフェーズ。0から50は、認知から並みのお店になる、競合他社に比べて一般的な価格で一般的な満足度っていうのを作れるようになれるフェーズ。50から100はそれがウルトラに飛び抜けていく、同一価格帯、同一の内容のお店と比較したときにより魅力的な店になっていく、レベルが高く上がっていくフェーズです。商売っていう部分で考えたら50から100のフェーズ以外はあまり利益って産まれない。でも、それぞれ大事なフェーズ、絶対通らないといけないフェーズであって、フェーズによってどこに拘らなければいけないのか、どこを妥協しないといけないかが違う。

―――お店の発展段階・フェーズによって目指すところが違うと

(浅野氏)例えば初期の段階、0から11から50のときは、その料金と比較して満足度を提供できなかったとしても、そういうキャストやスタッフでも居てもらわないと存続ができない。そういう人達にも出勤をしてもらわないといけない。逆に50から100のフェーズでは、そういった人間は早めに排除しなければならない。今日の利益の最大化を目指すより、「贅沢さんすごく良かった、ものすごく良かった、また使いたい」と感じてくれたお客様がお店のファンになってくれ、使う事が出来る金額の最大値を使ってくれることが50から100のフェーズに居る我々が今、目指しているところです。

―――少しシビアな話ですよね

(浅野氏)そうですね、そこは拘らなければなりません。今の僕らのフェーズの場合は「今までで一番楽しかったと感じてもらえるおもてなしを提供すること」。これ結構いろんな意味がある。「まあまあ」だったら次はないんです。デリヘルの価格帯に激安、スタンダード、リッチとあったとします。その中のリッチもリッチ、ミドルリッチ、スーパーリッチの3つに分かれます。我々の店は、そのミドルリッチに注力した店ですが、リッチ帯以上のお店って「まあまあ」だったら次はないんですよ。みんなちょっと背伸びをして楽しみにして来てくれるお客様が多い。だから「価格相応に楽しかった」では次にチャンスはないと思っているんです。

大手と立ち向かうには代わりのきかない魅力を持たなければならない

―――それくらい考えないと、経営は上手くいかないって事ですよね

(浅野氏)僕らは大手ではいないので、ここだったら負けないという場所を持っておくというのが、運営を存続していく上で大事なことだと思っています。例えば、大手しか取れない最強の戦略は、薄利多売です。僕らでも最大手のお店と同じ価格帯で運用すること自体は短期的にはできる。しかし、出勤している人数は当然少ない。掛けられる広告費でも短期的に掛けられたとしても売り上げに見合っていない。つまり同じことをしても、月々の利益の差はどんどん開いていって、最終的には絶対に真似できない、追いつけない、差が開いていくっていう形になってしまう。

―――大手に勝つためには、細かいところまでこだわらないといけない?

(浅野氏)代わりのきかない魅力というのが大事なことだと思っています。店の経営が一定レベル以上であれば、ある程度求人が機能しているお店であれば、女の子自体は来るし、さらに高いレベルで言ったらかわいいって一般的に誰が見ても思うような子も来てくれるんです。でもそれって、代わりが効きますよね。かわいい子を採用しているだけって、他の店でもできる。僕らは何に拘っているかというと、運営の部分に付加価値をつけるということ。基本的には、女の子はお客さんたちに対して優しくイチャイチャして、抜いてきてあげればそれで喜んでくれる。確かにそうなんですけど、でも突き詰めて考えたとき一つ一つは怒られないけど、やってあげた方が絶対にお客様が喜んでくれることってたくさんあるんです。そういうのを5分やりきろう、こういう感じでやるとお客様が喜んでくれるんだというのを細かく教えていく。コンサル、接客のコンサルですね。発信のコンサルとかもあったりする。そういうのを徹底的に教えきる。うちはもう特徴として、面接とか、コンサルの時間がめちゃめちゃ長いです。しない方が時間は浮くし一見楽ですが、そうやって付加価値をキャストにつける事で差別化を図る。

―――女性キャストのモチベーションの維持も大事ですね

(浅野氏)同じ子を採用してもその子が仕事をしているときの満足度が、うちで働いたときの方が高いようだったらそれは一つのストロングポイントです。その付加価値をつけるっていうところにこだわっている。そういう風俗に対して熱量が高いっていうのを優先して取りたい。だからキャストの採用はその子の今の能力値というよりは、伸びしろというところまで含めて採用するようにしています。大事なのは、風俗に対して熱量があるかどうか。意図的に熱量が高い女の子を優先して採用をしています。風俗に本気な人たちを採用するようにしているし、こうやってインタビューに出ることもそうなんですけど、僕は風俗に本気だよ、デリヘルに本気だよっていうのも発信し続けることによって、そういう人が集まってきやすくなる。もちろん高級店に見合う容姿というのもありますが、風俗に対する熱量、また僕らが付加価値をつけるというところが機能しやすい、熱量がある子を採用する事を意識しています。可愛ければいいとか写真だけ見て採用するかどうか判断するっていうことをうちはあえてしないようにしています。

風俗に対して熱い心をもって経営をしている浅野氏。これからのデリヘル業界のトレンドをどのように見ているのか……というお話は次回で伺います。

↓続きの記事はこちら↓

「贅沢なひと時」グループ オーナー 浅野氏 #3 【風俗業界、デリヘル業界のトレンドとは】

贅沢なひと時 浅野氏

プロフィール

「ルールの範囲内で遊んでくださるお客様に、今までで一番楽しかったと感じてもらえるおもてなしを提供する」事をモットーに「ミドルリッチ」をターゲットとした「贅沢なひと時」を経営する。大学入学を期に上京し、学生生活の傍ら憧れの新宿歌舞伎町デビューを果たす。水商売やスカウトマンを経て、友人の誘いでデリヘル経営を始めるも大赤字で危機を迎える。それをきっかけに私立大学医学部を辞め、風俗業界へ本格的に進出し、大赤字の店を1年で黒字に転換させて以降、増収増益を続けている。

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