いつのまにか風俗業界では当たり前の存在になったホテヘルですが、それもじつは東京や大阪を中心とした一部の現象であり、地域の行政事情に大きく影響を受けて発展してきた業種といえます。この記事ではホテルヘルスというジャンルについて詳しく紹介していきます。
風営法上のホテルヘルス
現在、東京都内や大阪府内の一部エリアではデリバリーヘルスと並んでポピュラーになりつつあるジャンルがホテルヘルスです。
通称『ホテヘル』として風俗業界に定着したジャンルですが、簡単に説明すれば派遣型風俗店の一種です。届出上の区分も無店舗型風俗特殊営業であり、デリバリーヘルスとの違いは受付所があるか否か(接客形態の差)で、受付所を介してから女性に接客してもらうのがホテルヘルスです。
そのため受付が店舗扱いとなり、デリバリーヘルスのように24時間営業は不可能で、多くの店が24時までの案内となっています。なお、一部でホテヘルを謳いながら24時間営業表記のところもありますが、このようなお店でも受付所は24時で閉め、それ以降は電話受付のみに切り替えてデリバリーヘルスとして営業をします。
ホテヘル発展の歴史
また、『ホテルヘルス』の名称ですが、プレイ場所がデリバリーヘルス同様にホテルを利用することに由来しています。そのため、基本的に受付はホテル街やホテルから近い繁華街の中にあることがほとんどです。東京では五反田、池袋、渋谷といったエリアが。大阪では十三、日本橋といったエリアにホテルが多いことから、ホテヘルの受付所も多くなっています。
このホテヘルの元祖は定かではありませんが、1990年に大阪で「国際花と緑の博覧会」で開催された際に条例で各風俗店に規制がかかり、ソープランドが事実上、大阪から消えたことは周知の事実です。この際にマンションヘルスに鞍替えをした風俗店が増えましたが、これもやがて規制の対象となり、誕生したのがホテルヘルスなのだとか。そのため、大阪をホテヘルの発祥地だとする説が定着しています。
また、東京では2002年頃からスタートした石原都知事時代の浄化作戦による一斉摘発で、無許可の店舗型風俗店の営業が難しくなったことがキッカケでした。
この際に店舗物件を提供/仲介していた不動産業まで摘発されるようになり、それまでは摘発のたびに店舗責任者の名義変更だけで存続してきた無許可店が、業態そのものの転換を余儀なくされました。その結果がホテヘルへの乗り換えで、歌舞伎町や渋谷といった従来の繁華街よりも、比較的にホテルの空き室が目立っていた池袋や五反田から順に増えていきました。
逆にいえば、こういった事情がなかったエリアでは、いまでもほとんどホテヘルが存在しません。
営業上の特徴とメリット
さて、同じ派遣型ヘルスのデリヘルと比べて、ホテヘルのメリットはどこにあるのでしょうか。
まず、ユーザーとのお金のやり取りを受付所で完結できるところがあります。ホテルでユーザーとキャストがお金のやり取りをする際に生じるトラブルを未然に防ぐことができるのは経営側としてはメリットでしょう。
なお、店とホテル(レンタルルーム)は特別な提携をできませんし、特定のプレイルームを持ってしまうと風営法や条例の「禁止エリアでの営業」に抵触します。ですから、ホテル代の支払いはお客さんからお金を出さないと筋が通りません。
また、ホテヘルの受け付けの多くはホテル街の近くにあり、キャストの待機場もその近くに置くことがほとんどです。そのため、デリヘルに比べると移動距離が短い、イコール、移動時間も少ないのでキャストはより効率的に稼ぐことができます。求人の際にも、この点を強調することがホテヘル経営の鍵になってきそうですね。
営業上のデメリットとアピールポイント
ただし、店舗型風俗店とは異なり、ホテヘルは街中に看板を出すことができません。店頭に「18禁マーク」を掲げることで、受付であることを提示しているところがほとんどです。同じく街中にある店舗型風俗店と比較した場合、この点はデメリットといえるでしょう。
そして、デリヘル同様にプレイを行う場所がホテルとなるために内装による演出ができません。プレイ内容やコスチューム等で特徴の差別化を図ることが必然となってくる反面、ホテルを「女の子とより密接になれるプライベート空間」とアピールすることは可能ですが、これはどのホテヘルにも共通する条件です。プラスアルファでどんなコンセプトを打ち出せるかが成功のカギになってくるでしょう。