「贅沢なひと時」グループ オーナー 浅野氏 #3 【風俗業界、デリヘル業界のトレンドとは】

経営者インタビュー

 

「経営者インタビュー」とは、風俗業界の第一線で活躍する風俗店経営者の方々にインタビューをして、その成功の秘訣や経営理念を探っていく企画です。ミドルリッチをターゲットとした高級デリヘル「贅沢なひと時」を中心に経営を行っている浅野氏にお話を伺います。風俗に熱い心を持ち経営を行う浅野氏。風俗業界やデリヘル業界のトレンドについてはどのように感じているのでしょうか。

前回の記事はこちら【大赤字のお店を黒字転換させて、さらに高みへ】

デリヘル経営しながらもデリヘルの枠に執着はない

―――浅野さん、デリヘル経営に関して熱い思いを語って頂きましたが、業界のトレンドについてはどう考えていらっしゃいますか

(浅野氏)僕はデリヘルを運営しているんですけど、デリヘルという枠にあまり執着していません。競合はデリヘルというよりむしろ全部の射精産業、エロ産業だと思っている。そう捉えていないと、そもそもそのデリヘル自体が、法の解釈やITの進化等によって時代遅れのコンテンツになってしまう可能性がある。他のデリヘル店がどうというよりは、パパ活とかギャラ飲みとかいう言葉がカルチャーとして出てきたとき、それが違法か合法かは置いておいて、そういった需要が出てきていると。そのパパ活をしている人たちが居て、今僕らが抱えているお客さんがそちらへ流れていって、逆にどういうお客さんはデリヘルに対して需要を持っているか。そういった分析こそ大事だなと思っています。

―――デリヘル業界だけでなく、全ての業界のトレンドが日々変化していると

(浅野氏)例えば、デリヘル業界内でのポータルサイトでの序列も重要ですけど、これだって気にしていても最後はどこかで置いていかれるだろう。こういうのも、その前提が僕の中でまずあってITはどんどん便利に進化していく。だから僕らユーザーからすると、どんどん情報が簡単に正確に早くアクセスできるようになっていく。例えば20年前の風俗だったらアタリの子と遊ぶのは、調べるのがすごく難しかったですよね。だから紙媒体を買ったりしていたと思うんですが、今は簡単ですよ。少なくともどのお店のナンバーワンとか人気の子なんてWebとかポータルで比較するとすぐわかってしまう。しかもポータルもお金だけ出しておけばランキング上げますよ、じゃないある程度アクセスベースのポータルがある。掲示板とかも含めて、いろんな情報が収集できる。

―――ITの進化が、トレンドに大きく影響を及ぼしていますね

(浅野氏)ITが便利になっていくことによって、デリヘル業界で一般的な目安だと言われる、総売上に対しての女子給率(女子の給与の総額)5割から6割を削っていかないといけない。システム自体もトレンドによって古くなって、それまでお店がやっていた事務処理的な価値は、薄まっていく。そういう意味で料金システムもデリヘル業界だけを見ていたらそれに気づけないのだけど、トレンドの変化に適用していかないと、取り返しがつかなくなってしまう。僕の感覚からしたら、そこが正に弊害で、以前ならお店がお客様を集めてあげているのだから君たちの給料は、総額いくらでも関係ないでしょうというのがギリギリ3年前ぐらいまで成立していた。今はそのシステムが成立していなくて、下降しているお店がある。それは僕からすると、トレンドじゃないことをやっていて、トレンドじゃない事は変えた方がいい。ITが進化することによって、昔だったらビジネスとして満たせなかったお客さんのニッチなニーズを満たせるコンテンツがすごく増えている。そういうところが手ごわい競合であって、僕らはその中でどうやって魅力的なコンテンツとして生き残れるのか。いつも考えています。

―――デリヘル業界について、かなり俯瞰的に見ていますね

(浅野氏)自分たちと同業種の中でしか、流れに目を向けていないお店というのは、10年スパンで見ると淘汰されてしまう可能性が高い。特に、この1・2年で感じているのが、経済の二極化が進んでいるということです。例えばこのコロナ禍で株価はバブル以来の最高値をつけている訳ですが、実際その恩恵を感じている人はほとんどいない。何が起こっているのか。例えばバブルのときは、みんなが1億総中流、みんながお金持ちになっていくと感じて、感じた瞬間にお金を使っていた。今はそういう余剰投資ができるような人たち、そういうシステムをうまく使っている人たちに圧倒的に偏ってお金がいく。中流層は資産の量とか、下降している。だから、うちはそのミドルリッチをずっとターゲットにしていて、ミドルリッチの方々に対し魅力的なコンテンツでありたいというところを意識して運営していた。しかし、ここ12年のそういった2極化しているっていうトレンドを見たときに、スタンダード店とかミドルリッチ店のお客さんは絶対数が減っている。激安やスーパーリッチに応えられるお店に、少しお店を整えていく、軌道修正をしていくとかっていうことは、今意識して取り組んでいること、取り組んでいかないといけないなと思っていることですね。

メリット・デメリットがあってもSNSを始めとした新しいものは、取り入れていくべき

―――トレンドの一つとも言えるSNSの利用についてはどうお考えですか

(浅野氏)SNSをやる上で大事にしているのは、デリヘルの運営はエンタメの運営だと思っていること。エロエンターテイメントって表現を使うが、エンタメなので、楽しい・面白いが結構重要な要素だと思っている。そのときに、自分が楽しむという事を、強く意識しています。SNSもメリット・デメリットがある。でも新しいことは全てメリット・デメリットがあって、取りかかろうっていう時期はデメリットにみんな注目がいって反対されるんですけど、中長期で見たとき、やっぱりやっておいた方がプラスになるっていうのであれば、楽しみながら取り組みたいですね。

―――新しいことは、どんどん取り入れるべきと

(浅野氏)そうですね。責任者についてくる前提って結果だと思っているんです。どれだけいい人であっても、来月の給料を払えませんって言われれば、それはもう僕は良くない経営者さんだと思う。あの人いい人だったけど、結局解散することになりました。それでは意味がないです。結果・利益を出し続けるのは大事ですけど、流行り商売なので、旬のトレンドはどんどん変化していく。1回うまくいったやり方でも、正解は常に変わっていく。なので、何か仕事に取り組むときに、少しでもこれを成功させる確率を上げるためには、今まで培ったことでガチガチにやったら正解に近づけるけど、わざと責任が取れる範囲でリスクを負う、あえてチャレンジの部分を作っておく。そうすることで、自分たちの手法をアップデートし続けられる。長く生き残るとかずっと旬であり続けたいと思うから、チャレンジの部分は、意図して入れるようにしています。

―――チャレンジをし続けなければならない?

(浅野氏)SNSとかもそういった意図ですよね。実際やってみてメリット・デメリット両方あったしデメリットも結構きついと思いました。でもやっていたからこそ、SNSに強い人が集まってきてくれ、SNSで認知してもらえもする。まずは自分でやってみて、その後一緒にやっていこうよと、部下であったりキャストであったりを巻き込んで。やって自分ができないことは、僕は教えられない。

―――今後の展望や、大きな目標といったものはありますか

(浅野氏)最終的には、僕は好きな人と一緒に仕事をしてジジイになって、あの時楽しかったねって酒でも飲めるような組織を作りたいなって思っています。そんな大それたものではなくて、人に必要とされていたい、でもそんなにたくさんの人じゃなくて、手の届く範囲とかでいいんですけど、そういうのが人生の中で何人かでも作っていけたらいいかな、というのがモチベーションです。そういう一生懸命向上し、一緒にいてワクワクできるパートナー達と、今は僕が最前線に居ながら、いろんなことに取り組んでいけたらいいなと思って今、仕事をしていますね。飲んでいないといいこと言いますね、僕は。(笑)

―――デリヘル経営を始めようと思っている方へのメッセージはありますか

(浅野氏)間違いなくどんな仕事でも大変だと思うんですよ。デリヘルがことさら大変かっていうと、いただいている収入とかを思えば、大変といえば大変だけども、今となっては報われているなって思うし、ただそれでも、10年やっていてこんな事が起こるか、と思う事もあるいんで、ありはするんですけど、そういうのも楽しめるかどうかそういうのすらも楽しもうっていう開拓者のマインドがあれば、ワクワクして楽しいし、そういう人の極限状況をある種扱う仕事ではあるので、そういうことは結構頻度高く起きるので、日曜日に電話かかってくるのが嫌だと思う人は向いてないと思いますね。逆に、いつでも電話で出るけど、休みが取りやすい、そういうのを自由に組み立てられるっていいなって思える人は、楽しめるとか向いていると思います。

風俗に対して熱い心をもって経営をしている浅野氏ですが、実は業界のトレンドや自らの経営方針につて常に深く考えていらっしゃる方でした。読者の皆さんへも浅野氏の熱い心と冷静な分析力が伝わったことと思います。

贅沢なひと時 浅野氏

プロフィール

「ルールの範囲内で遊んでくださるお客様に、今までで一番楽しかったと感じてもらえるおもてなしを提供する」事をモットーに「ミドルリッチ」をターゲットとした「贅沢なひと時」を経営する。大学入学を期に上京し、学生生活の傍ら憧れの新宿歌舞伎町デビューを果たす。水商売やスカウトマンを経て、友人の誘いでデリヘル経営を始めるも大赤字で危機を迎える。それをきっかけに私立大学医学部を辞め、風俗業界へ本格的に進出し、大赤字の店を1年で黒字に転換させて以降、増収増益を続けている。

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