貫けば認めてもらえるんだ！

―――立ち上げ当初は大赤字だったとのことですが、そこから何に着手したのでしょうか？

（野村氏）やはり、女性求人のテコ入れです。この業界、優秀な裏方が何人もいたからって始まるものではないでしょう？キャストさんがいなくては始まらないわけで。それで全ての求人サイトを徹底的に見比べまして、思ったのは「どこの業者も同じようなデザインだな～」って。たとえば、掲載するテイストが似たり寄ったりのものばかりじゃないですか？

―――たしかに、それは言えることです。

（野村氏）それで、自分はちょうど娘が生まれたばかりの頃だったので、求人サイトに使用するマスコットキャラクターにその娘の写真を使ってみたり（笑）、あとは当時、求人サイトって色的にはピンク中心のパステル系のデザインが多かったんですよね。それで同じことをしても目立たないぞって思い、黒や赤を取り入れるようにしました。

―――それは目立つことは目立ちますが……。

（野村氏）それを見た広告代理店の方にも言われましたよ、「こんなんじゃ、よけいに求人の応募がありませんよ」って。どうやら、業界としてはタブーなデザインを積極的に取り入れていたようです。それで、さらに他の業者さんからも「野村のところは何をしてるんだ？」って失笑されましたけど……貫いた結果が今の『LOVERS-A』です。あとは当時、ガラケーからスマホへの移行時期でしたけど、ガラケー版のホームページも作ったり……当時はやることすべてに対して「あいつはふざけてる！」って批判されたけど、貫けば認めてもらえるんだってことは、『LOVERS-A』を立ち上げたからこそ分かったことですね。

―――それが現在のお仕事をするうえでの指針になっていると？

（野村氏）そうですね。他人に否定されても最後まで自分を貫け、思い切ったことをやれ。部下によく言うことですね。だから、これが『LOVERS-A』の理念になるのかな？叩かれても気にするなよって言っていますが……よくよく考えると、自分みたいな人が増えたら増えたで困るっていえば困りますけど（笑）

大切なのは『考え方』だと思います

―――ただ、チャット業界自体がそれまでの風俗業界との流れが違うので、いろいろと苦労はあるかと思います。

（野村氏）ええ。たとえば広告で「風俗じゃないのに高収入」とうたっても、なかなか理解されませんでしたし。でも、やりたいことをやりたいようにやるしかないんじゃないですか？まぁ、それは腹をくくってやらないと無理なことですけどね。それまでの概念や、固定観念を壊すようなパワフルさ、タフさが必要ですね、この業界は。

―――結果論になってしまうと思いますが、チャットに先見の明があったと思うのでは。今、コロナ禍で外出など、あらゆることが自粛という流れになりました。そんな時にチャットが自宅で楽しめるジャンルだったと再確認できました。

（野村氏）そうですね……そう言っていただけるとありがたいのですが……。最近外出自粛中に、デリヘルさんでもお客様のもとへキャストさんを派遣できないということで、チャットを副業として始めたところもありますけど……。正直なところ、上手くいくとは思えないお店がほとんどです。ただ配信すればいいってものではありませんし、『LOVERS-A』の場合、チャットする場所に、どれだけのお金をかけているのか？設備はもちろんですけど…内装とかも、かなりこだわっていますよ？そこらへんは最近になってチャットのまねごとをし始めたお店には負けませんよ。

―――おぉ、さすがに重みのある言葉ですね。最後にこの業界を目指す方にアドバイスはありますか？

（野村氏）アドバイスですか……そうですね……ただ「稼げそう！」というだけで入って来たのでは何も学べませんよ、ってことかな。そもそも学ぶのではなく、考えることが大切であって。特に大切なのは“考え方”だと思うんですよ。とにかく自分で考えろ！そして、何も変わらないのであれば、その考え方を変えないと勝ち残れません。だから思い切ったことをやってほしいです。

―――わかりました。本日はありがとうございました。