(前回のあらすじ)
新宿歌舞伎町で巨乳痴女専門ホテルヘルスを経営するI氏。その考え方は、独自のものがあり、だからこそ長きにわたって多くの人に愛されているのでしょう。ラストは経営で心掛けていることや業界を目指す人へのメッセージをいただきます。
前回の記事はこちら【“たまたまのチャンス”を見逃さなかった!】
優先すべきことはお金よりも働き方じゃないでしょうか?
―――I氏がお店を経営するにあたって、心掛けていることは?
(I氏)人に迷惑をかけないこと、ですかね。普通に気を付けて生きていても、迷惑をかけてしまう事はたくさんあると思います。それは仕方ないところもあります。だけど、自分が得をするために人の迷惑を考えない人っているじゃないですか?自分の得のために、人に損をさせても平気な人がお店にいれば、厳しく対応致します。たとえ成績がトップの方でも、そういうことをしていたことが分かり、改善の余地が無ければ解雇します。でもこの一点だけですよ、ボクが厳しいのは。偉そうな事を言える資格があるとは思えないので。
―――Iさんのお話を聞いていると、いろいろと大切なことが見えてきます。
(I氏)たとえば、お金を稼ぐことが幸せなのであれば、そこを目指せば良いんじゃないですか?自分はそうじゃないんです。たとえ話になりますけど、お金ってただの紙です。何かが欲しい時のための紙です。いわば、引換券みたいな。だからお金そのものが欲しいという人は、ほとんどいないと思います。でも、そのお金を集めて交換できる物の中に、欲しいものがあるという意見は否定しません。だから、その交換したい物を得たい人は、たくさんお金集めを頑張ればいいと思います。
―――しかし、Iさんにとっては違うと?
(I氏)だけど、自分の場合はお金じゃ得られない物事が欲しかったりして。それは人からの感謝や喜びだったり。感謝したり、されたりにお金は必ずしも必要は無いというか。さっきの他人への迷惑の話にも共通しますけど…お金をたくさん得ようとすると、結果的に誰かを損させて傷つけることが多いじゃないですか。だから、お金を目的にすると欲しいものが手に入らない事が多々あるんです。
―――深いですね。
(I氏)でも、それは自分自身の考えであって。キャストさんには充分にお金を得ていただこう、従業員にもしっかり稼いでいただこう、お客様にたくさん喜んでいただこうと。身内や周囲の人が潤う事はもちろん嬉しいコトです。まぁ、そうしていれば最終的に自分にも幸せのお裾分けがあるかもしれないじゃないですか。もちろんね、最低限の生活があるから、その糧は必要ですけど。だからこそ、その最低限の糧を得るための経済活動は頑張ると。一番大事なのは、そこじゃないかと自分は思うんですよ。欲望に上限は無いように思えますけど、下限はありますよね。それは今言った、最低限の生活だったり。たとえば、1日に1,000円を使って満足する人もいれば、100万円使っても満足できない人もいます。一晩でキャバクラで100万円を使うのと、事務所でカップ麺をすすりながら楽しく仕事をするのとでは、ボクは後者が幸せに思えて。(若い時は、キャバクラも好きでしたが(笑))だったら、1日1,000円で幸せになる方法を考えたほうが、みんなが、より多くの人が幸せになれる確率は高いじゃないですか。幸せになれる確率が高いほうがいいじゃないですか。この理屈を理解頂く努力をすれば、働いてくれている皆も幸せになれそうじゃないですか。
―――なるほど!
(I氏)他人から見て、「派手に稼いでいないけど、なんかこの人、楽しそうに仕事してるな~」って思われるのも悪くないですし、そういう人物を育てたいですよね。どこでも、どんな時でも幸せな人生を送れます、きっと。逆にそこに共感してもらえないと、男性スタッフに関しては、自分では幸せにしてあげる自信がありません。もちろんですが、女の子は全員に希望額を稼いで頂きますし、稼がせますよ。
下積み経験は経営していく上で、きっと役に立つからしておくべきです!
―――これから業界で起業したいという方へのメッセージはありますか?
(I氏)必ずやりたい仕事の下積みは経験しておいたほうがいいですね。たとえば、脱サラしました。そして、風俗経営の知識はあります、経験者を雇えます、という状況でも、いきなり風俗の経営者になります…から入らない方がいいと思いますよ。ボク自身も最初はアルバイトとしてこの業界に入って、その視線で培った経験は、20年以上経った今でもとても大事なものです。上の立場の人物(後の自分のポジション)を間近で学べるのは下の立場の特権じゃないですか?下積みを3年はしたほうが良いと思います。
―――開業してからも大変ですよね。
(I氏)開業したら、きちんと続けていくにはきちんとした目標が必要です。だけど、そのきちんとした目標って、実は自身の経験なしでは立てられなかったりするわけです。それは下積みで感じたことや、一緒に苦楽を共にした仲間への思いがあり、そうした人達への思いが「これだ!」というシッカリした目標作りの礎となり、目標が見えてきたら、そこに向かってそれをひたすら続けるのみです。だから、「新しい何かを始めなきゃ」って思う必要も自分にはなかった。人の役に立ちたいと思ったら、自然に「あれをやろう!」、「これをしよう!」って流れになると思います。
―――あえて新しいことに手を出さずに、地盤を固めると?
(I氏)あくまでもボクの生き方ですけどね。そこで、新しいこととか余計なことをすると失敗するかもしれないし……って、ほら、自分めちゃくちゃ臆病でしょ?(笑)だから、今後の展開についても新しいことや突飛なことをするつもりも無いし。だけど、自分の考えに共感してくれる従業員の人数が増えたら、新しいお店はその従業員のためには出しますよ。そうすることで、自分のあとに続くスタッフもお店作りを通して、貴重な人生経験ができるじゃないですか。でも、このインタビューでボクが言った価値観とかを理解できないと、のれん分けはできないですよね。お店を回す技術・知識だけでは任せられないし、逆に技術を持ってなくても自分の言っているコトを心で理解できる人だったら、尽力は惜しみません。
―――期待が高まりますね!
(I氏)ここまでの自分の話を聞いて、綺麗事だとか、偽善じゃないかって思う人もいるでしょうけど、もちろんそういう感覚はありますよ。でも、偽善でも全然いいじゃないですか。損得無しの善行を行える者が少ないのは当然として、偽善ですら損得を求めない善行を行える人が少ないご時世なんで、偽善を続けていれば、自然と善が行える人に近づけるかもしれないじゃないですか。それは素敵な成長だと思います。だからそれでいいんじゃないかな?と今はそう思います。
―――本日はありがとうございました。
新宿歌舞伎町の巨乳専門店 I氏
大学在学中に今のお店の前身となるお店に、知人の誘いでアルバイトを始める。それから大学卒業後一ヶ月だけ一般企業に入社するも、働く人の熱意に温度差を感じ、すぐに風俗業界に戻ってくる。20年以上も歌舞伎町で営業を続け、お店のコンセプトも、I氏自身の信念もブレることなく貫く姿勢が長年営業し続ける重要なポイントなのだろう。風俗一筋で生きてきたI氏の今後の展開に注目したい