E+グル―プ にしかた社長#2【ターニングポイントになった4年目】

経営者インタビュー

(前回のあらすじ)
にしかた氏は大学在籍時よりスカウトマンとして活躍。決まりかけていた大手企業への就職ができなくなり、そのままスカウト会社を立ち上げることに。ある程度の成功を収めていたものの、迷惑防止条例の施行によって「ビクビクしながらやっても仕方ない」とスカウト業を廃業。その後、1年ほど沖縄に滞在して帰京すると、いよいよE+を立ち上げることに……。

前回の記事はこちら 【スカウトと遊びに明け暮れた学生時代】

ノリで始めたE+

―――1年間、滞在した沖縄から帰京されてE+を立ち上げるんですよね? なぜ、デリヘルだったんですか?

(にしかた氏)そうですね~……それまで仕事としてスカウトしかしたことがなかったわけじゃないですか? それで、自分の周囲にはスカウトで知り合った女のコもいるし、デリヘルの運営の仕方を知っている人もいる。だったら、「みんなを集めてやっちゃおうか!」という感じで。おそらく、今ほど真剣に考えてなかったと思います。完全にノリですよ(笑)。とりあえずやってみようって感じだったし、ましてや自分は一生、デリヘルで食っていくとも思っていなかったですしね。もちろん、今は違いますよ(笑)

―――立ち上げた2008年頃という時期はデリヘル、風俗店にとって転換期であったと思います。広告が紙媒体からネット媒体へ移り行く頃で、お店自体が安く運営できるというか、リスクが少なくなったというか……。

(にしかた氏)そうですね。でも……ノリで始めたから最初から電話が鳴ったわけでもありませんしね。ノリで電話は鳴ってくれなかった(笑)。軌道に乗るまで……そうですね、2年はかかったと思います。こちらも集客のノウハウとか分かってなかったですしね。ただ、女のコのクオリティはめちゃくちゃ高かったから、一度、入ってくれたら……という自信はありましたけど、オープンして1年は赤字経営でしたよ。

―――経営自体が危なかったと?

(にしかた氏)そうですね。1年過ぎた頃から収支計算が苦痛でしたよ、赤字でしかないから。実際、計算するのをやめましたから(笑)。それでも続けてきたのは……途中からは意地だけでしたよね、今、思えば。

―――それは……挫折じゃないですか?

(にしかた氏)う~ん……現実を直視していませんでしたよ、どこかで。電話が一本も鳴らなかったら、「だったら今日はみんなで呑みにいっちゃうか?」みたいな感じで(笑)。ただそうなっても仕方ないですよ、戦略も何も無かったんですから。それでも続けたのは立ち上げの時に後輩を誘ったんですよ。だから、「後輩を巻き込んでいるし」といった意地でもあるんだけど、でも、どうしたらいいか分からないんです。それで何もしない、みたいな。

大切な後輩が辞めて意識が変わった

―――そんな思いが変わって、なぜ、今のように大きな会社になったのですか?

(にしかた氏)会社を立ち上げる時に引っ張ったその後輩が、ついに辞めてしまったんですよ。「もうやっていけません」と言って。もちろん、給料は払っていましたよ。だけど、彼が結婚したという事情もあったけど、「先が見えない」という理由で辞めていったんです。それがターニングポイントになりました。それまでの経営は、ごまかし、ごまかしの連続でした。その日が楽しければいいか、みたいな。そうすると、そりゃあ、先は見えないですよね。そうなって、事の重大さに気付いたというか、ちゃんとやらなくては……と思いました。

―――その後輩が辞めた時に店をたたもうという選択肢はなかったんですか?

(にしかた氏)それは無かったです。今度こそちゃんとやらなきゃという気持ちでした。最初は4人で立ち上げたんですけど、その後輩が抜けて3人になって。そこで、3人でちゃんとやろうと誓いました。それで、その直後に今のE+の店長になる者が入ってきて、軌道に乗っていく……という感じです。それが2012年か2013年のことです。

―――その時、にしかたさんが取った行動が、面白いんですよね?

(にしかた氏)あぁ、クロムハーツですか?(笑)その時の売上金のすべて、まぁなけなしのお金ですけど、それで銀座のクロムハーツで買えるだけ買って。それは、まず、誰かが女の子を自分に紹介しようとなった時に、「こいつ、稼いでいるな!」と思わせようとしたんです。ある意味ハッタリですけど、必要じゃないですか?

―――なるほど。それは、まず、テコ入れに着手する際はキャストさんからだったんですね? オペレーションとか目標設定ではなく……。

(にしかた氏)オペレーションとか、そんな次元じゃなかったですよ(苦笑)。それよりも、もともと良かった女のコの質を、さらに良くしようと思って。それでキャストを増やして、出勤数を上げれば自然に電話が鳴るようになって……だから、そんな苦労したということも無いです。ただ、その時でオープンして4年ほど経っていて、ネームバリューも出てきた頃だったのと、なんだかんだで4年間の蓄積があったことも大きいかもしれない。ただ、そこまで耐えてきたことも大きいですよ。たとえば他の風俗店さんだったら、そこに至るまでお店をたたんでいると思います。

―――時代的なこともあると思うんですよ。たとえば、にしかたさんの世代の人たちは風営法が改正されてデリヘルをやるしかなくて、その下地作りに時間がかかったと思うんです。

(にしかた氏)まさに、その通りですね。時間がかかったけど、下地があった分、諦めなかったというか……4年は小さくなかったですね。

―――あと、E+さんの場合はホームページが良いですよね。インパクトがあるというか、その後、多くの店が真似するほどに……。

(にしかた氏)ありがとうございます。思えば、その後輩が辞めたことがターニングポイントでしたけど、その辞められた時点である程度の体幹的なものはできていたと思うんですよ。だから耐えられたし、今があると。

こうして後輩が自分のもとを去ったことで、その後を見据えるようになったというにしかた氏。現在、錦糸町エリアを代表するデリヘルを運営するにあたって大切にしていることは何なのか? また、創業11年を迎えた“現在”だからこそ大切にしていることは? その点については第3話で語っていただきます。

E+グループ にしかた社長

大学生の頃からスカウトを始め、スカウト会社を設立する。法改正でスカウト会社を廃業ししばらくしてE+を立ち上げる。始めの数年はなかなか軌道に乗らず、低迷していた。そんな中立ち上げメンバーである後輩の退職をきっかけに一念発起し、わずか数年で東京を代表するようなお店にまで成長させる

【E+グループ】
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