困難なデリヘル承諾物件選び。通常の物件検索との違いは?

風俗業種の物件を学ぶ!

近年、デリバリーヘルスの開業がブームとなっています。開業自体は少ない資本で始めることができ、リスクも比較的低いということもあり(開業後、営業が軌道にのるかは別の話です)、業界経験者だけでなく脱サラをして開業を目指す人も多数見受けられます。デリバリーヘルスを開業するためには多くの準備が必要です。お店のコンセプト(コスプレ店、人妻店、高級店など)を決めたり、ホームページを稼働させたりと、やるべきことは沢山あります。その中の一つが本拠事務所の設置です。本拠事務所は風営法に基づく営業届の提出の際に必須であり、また受付電話の設置、場合によってはキャストの待機所として必要となる場合もあります。開業にあたり自己所有物件があれば、その物件を本拠事務所へ転用することもできますが、多くの場合、賃貸契約を結び本拠事務所を借りなければなりません。ここからは、これから実際に物件探しをされる方や、本拠事務所の移転を検討されている方、営業拠点を増やしたいと考えている方へ「承諾物件」探しの現状について簡単にご説明させていただきます。

デリヘル承諾物件とは?

デリバリーヘルスは「無店舗型性風俗特殊営業」に該当します。そのため「風俗営業等の規制及び事業の適正化等に関する法律」いわゆる「風営法の定めに従わなければなりません。風営法によれば、デリバリーヘルスの営業は国が営業を許可する「許可制」ではなく、営業店舗自らが届け出を行う「届出制」となっています。

デリバリーヘルスの本拠事務所には設置場所等の制限は特にありませんが、該当物件が賃貸物件の場合、所有者の使用承諾が必要となります。この所有者の承諾が得られた物件を「承諾物件」と呼びます。

承諾物件を探す前に

多くのデリバリーヘルス経営者が賃貸契約によって「承諾物件」を確保しているわけですが、これから物件を探し始める方々に、ぜひ頭に入れていただきたいことがあります。それは、数年前から大きく変化した不動産市場の現在のトレンドです。

現在、東京都心におけるオフィスの空室率は、バブル期並みに低下しています。オフィスや店舗等の事業用物件が不足している、完全な貸し手市場となっています。そのような状況の中、貸主は少しでも「いいお客さんに借りてもらいたい」と考えています。近隣トラブルや家賃滞納リスクが低く、長く大切に使ってくれる借主を求めているのです。

つまり、反社会団体との繋がりを疑わせるなど、イメージが必ずしも良くないデリヘル業者に貸してもいいと思う貸主は、非常に少ないのです。お金さえ出せば、希望のエリアで簡単に「承諾物件」を借りることができるという状況ではないということを理解してください。

また、デリバリーヘルスの拠点事務所・待機所として適しているワンルームマンションや1LDKのマンションは、現在活況である民泊業にも適していることが多く、民泊業者からも需要が高まっています。すなわち競争倍率が上がっているのです。

以上のような理由から、市場に出回る「承諾物件」は非常に少なくなっているのです。

物件を検討するにあたって

ご説明したように、現在、デリバリーヘルス開業のための承諾物件が市場にでにくい状況となっています。しかしながら、デリバリーヘルス開業のためには、数少ない承諾物件から情報を集めより良い物件を探さなければなりません。その際に注意すべき点は、募集概要をよく確認することです。

物件をデリバリーヘルス拠点事務所・待機所として使用する場合、当該物件は「事業用となります。つまり、「住居用」物件の場合は消費税が非課税となりますが、記載の募集図面が「住居用」でありながら「事業用」に転用する場合には、その賃料管理費に消費税が課税されるのです。

また、デリバリーヘルスの拠点事務所として使用される場合、賃料が割増しとなるケースも多くあります。例えば、住居として使用される場合の通常賃料が80,000円の物件の場合、承諾物件として使用される際には、賃料5000円上乗せの上、消費税が8%加算されるため賃料が合計91,800円となる事があります。敷金や礼金の初期費用に関しても、住居として借りる場合と比べ、割高になることがほとんどです。

敷金1か月、礼金1か月で募集しているワンルーム住居物件の場合でも、事業用で借りる際は、敷金や礼金が1か月程度加算されるケースが多いようです。また、風俗営業の承諾書が必要な場合には、承諾料の名目で費用がかかるケースも多くあります。その際の相場として、賃料の1か月程度を請求されるケースが多いようです。

承諾物件の情報を手に入れたら、紹介元の不動産業者へデリヘルの本拠事務所・待機所として借りる際に、どのような条件の変更があるのか、よく確認することが必要でしょう。「ぼったくり」と感じられる方がいらっしゃるかもしれませんが、ほとんどの場合、このような契約形態になっています。理由はまた別の機会で説明できればと思います。

まとめ

拠点事務所となる物件を見つけなくては、当然、デリバリーヘルスの開業はできません。しかし、デリバリーヘルス開業のための賃貸物件がなかなか出てこない状況となっています。人気エリアの物件は空いたら借り増ししようとしている大手のデリヘル業者も多数存在し、なかなか回ってきません。また、空き物件が出た際、一番に声をかけてもらえるよう不動産業者とまめに連絡を取り、数か月~数年待つということもあります。運よく承諾物件の情報を入手した場合、すぐに決断をして物件を借りるための手続きをしなければ、物件はすぐに無くなってしまいます。多少作りが古く、賃料や初期費用が高くても、エレベーターが無くても、所有者が快く貸してくれるのならばデリバリーヘルスの開業を目指す方にとっては、優良な物件と言えるのではないでしょうか。