ホストの売掛システム規制に伴う風俗店の影響は?

風俗経営基礎知識

ホストクラブの売掛金システム規制要請はご存じでしょう。

新宿区議が区議会に対して売掛禁止条例の検討を申し入れた件です。

この条例はお客の飲食代を売掛金にするのを禁止とするもの。

自主規制要請は、ホストクラブ業界において不正行為の防止と公平性の確保を目指すものです。

これにより業界が健全に発展し、顧客とホストクラブの双方にとって公平で安心な環境が整備されることが期待されます。

色々なニュース番組等で取り上げられていましたが、売掛金システム自体を禁止する他、簡潔に規制する方法は無いと言われています。

最近では新宿区の区長が記者会見をしましたし、東京都の小池知事や国会でも取り上げられることもあったりと本格的に議論されました。

今回はこの規制要請によって、風俗店への影響はどんなものがあるのかと注意した方が良いことについてお話ししていきたいと思います。

区長によると、区内のホストクラブは約300店舗あり、客の売掛金は1千万円台になることもあるとのことです。

まずはこの要請がなぜ行われたのか、その背景について解説します。

ホストクラブの売掛金規制要請とは

会見では、女性が売掛金で飲食し高額請求が相次いでいるという問題を受け「ホストクラブに売掛金の自主規制を求めていく」というものでした。

また、実効性のある自主規制ルールを作る為に大手の経営者らと話し合いを進めているということです。

歌舞伎町のホストクラブなどでの売掛金による高額請求により女性が風俗で働くよう誘導されたり、家族が取り立てられる事例があるとの説明もされていました。

こういったことから社会問題へと発展しています。

区内の消費者被害であり、ときに犯罪的な行為もみられるとのことで、歌舞伎町商店街振興組合・被害相談を受ける一般社団法人青少年を守る父母の連絡協議会・新宿署と連携して啓発などの対応を行うとのことです。

規制要請の背景

ホストクラブでは、顧客が飲食代やサービス料をまとめて後日支払う「売掛金システム」は広く知られていました。

いわゆる”ツケ払い”のことです。

この売掛金が回収できなかった場合、担当ホストがお客の代わりにその売掛金を支払うことを義務付けているお店もあったりします。

ホストに夢中になってしまう女性の心理

ホストクラブでの飲食代の売掛金とは「担当ホストが自分の変りにお店に借金をしてくれている」というもになります。

なので、それでお客の女性の心理として「彼が私の為に」「申し訳ない」などという感情が生まれてくるのです。

悪質なホストはよくルールを分かっていないお客に「今お金が無いなら俺が代わりに払っておくよ」と言ったりして、わざと恩を売るような言い方をします。

「だからまた来てよ」「次でいいから」と言われれば若い女性は特にその言葉に乗ってしまい、売掛をして次、またお店に行くでしょう。

悩みを抱えていたり、ストレスを発散したいお客が多いですから、そういう精神状態の相手に漬け込みます。

もちろん、純粋にお客の話を親身になって聞いて楽しんでいってもらうというちゃんとしたホストのみなさんもたくさんいるのでホストクラブというもの自体が悪いわけではありません。

一部の人間による悪質な行為から社会問題になるまでに発展してきてしまったのです。

お客の高額な借金や売掛はかなり前から問題視されているものではありました。

売掛をするお客の担当ホストにも回収できなかったら自分の給料から引かれるというリスクがあるので、なんとしてでも売掛金を回収しようとするでしょう。

売掛金システムの規制要請はこのシステムが不正使用され、支払いを回避する手段となるケースが散見されたことが背景となります。

自主規制の目的

  1. 業界の健全な発展: 不正な取引を抑制し、業界全体の信頼性と健全な発展を促進することが期待されています。
  2. 公平性の確保: 顧客とホストクラブの間での負担やリスクを公平に分担し、業界の公正性を向上させること。

自主規制の要請内容

売掛金の上限設定: 売掛金の上限を設定し、それを超える場合には迅速な支払いを要求する仕組みを導入すること。

顧客の信用調査: 顧客の過去の取引履歴や支払い実績を確認し、信頼性の低い顧客に対しては売掛金システムを制限すること。

透明性の向上: 売掛金の請求や支払いに関する情報を透明かつ迅速に提供し、顧客にも理解しやすい形で説明すること。

売掛金を支払わないとどうなるのか

売掛金の支払いが行われない場合、ホストクラブは契約違反として支払いの請求や法的手続きを検討することがあります。

これは民事上の問題で、裁判所に訴訟を起こすことも含まれます。

ただし、一般的には売掛金未払いが刑事罰の対象となることはありません。

ですが特殊な状況や詐欺行為が絡む場合は別です。

例えば、最初から支払う気がないのにそれを隠してサービスを受けた場合は詐欺罪に問われる可能性もあります。

問題視されているのは、支払うことができないなら働き口を紹介すると言って風俗店に誘導したり立ちんぼをする女性が増えたりといった悪質な取り立てが目立っていることです。

風俗店が注意しなければいけないこと

ここまでの説明でホストクラブの売掛金システム規制要請については分かっていただけたかと思います。

ここからはこの規制要請に伴い、風俗店が注意しなければいけないことについてお話します。

一見、なんら関係のないものと思う人も少なくありませんが多いに関係あるのです。

そもそも、会見や国会、ニュースでも売掛金が払えない女性はホストから「風俗店に誘導される」という言葉が出ています。

ホストクラブで遊んだ売掛金を返すためにホストが風俗店を紹介した場合、管理売春に問われる可能性もあります。

管理売春とは

売春が組織的に行われ、管理されている状況のことを指します。

自己の管理する場所で売春させているという犯罪です。

実際に、ある一部のお店は売掛金がある女性を入店禁止にしています。

売掛した女性が風俗で働いてるとなると警察も見過ごすわけにはいきませんので注意が必要です。

風俗店の注意点

以上のことから分かる通り、ホストからの紹介は注意してください。

2023年1月にも「ホストの男性が売掛金を支払わせる為に自分のお客を風俗店で働かせた」として売春防止法違反で逮捕されています。

「ただ働きたいという女性を紹介されただけ」というようには見てもらえない可能性があるということです。

管理売春ですと組織的に、つまりホストとグルになっていると判断されれば女性を働かせたお店も罪に問われます。

まとめ

いまやホストクラブの売掛金問題は社会問題となっており、規制要請を受けることは業界にとっては必須とされています。業界全体が適切な規制を受け入れ、公正で健全な環境を構築することで、信頼性の向上と社会的な問題の解決が期待されます。また、風俗業界関係者も、女性の雇用において慎重で誠実なアプローチを取ることが、より健全な産業の発展に繋がるでしょう。とばっちりを受ける事になりかねませんので風俗店経営者の方は、ホストからの紹介による女性の雇用に慎重になってください。十分な背景調査や信頼性の確認を行い、法律に則った雇用プロセスを確立することがリスク回避に繋がります。また、従業員に対して、顧客との適切な取引や業界規範についての教育とトレーニングを提供することが大切です。