「風俗店」ときいて反社会勢力との繋がりを想像する方は多いでしょう。風俗店を利用すれば判りますが、受付にはそのスジと思えるような風貌の従業員がいることもあります。

経営者側から見れば利用客に「キャストの女性に無理なことをすればただでは済まないのではないか」と思わせ、乱暴行為の抑止力とするという側面もあるかもしれません。では実際、風俗店は反社会勢力と繋がりがあるのでしょうか。

「風営法」「暴対法」施行前の風俗店

「風俗店」の経営指針となる「風俗営業法」や「暴力団対策法」の施行される以前、例えば都内有数の歓楽街である新宿歌舞伎町には、多くの反社会勢力とみられる人間が闊歩し、風俗店だけではありませんが、反社会勢力が経営をしていた「夜のお店」も多数見られました。そのような「夜のお店」では、粗相をした来店客や店の女の子に手を出した従業員が暴力的な制裁を受けることも多かったようです。

また、経営者が反社会勢力の人間でなくても店舗周辺のエリアを牛耳る反社会勢力へ「ケツ持ち代」と呼ばれる金銭を支払う習慣がありました。トラブルに陥った際の「用心棒代」とされていましたが、実際には「支払ったから嫌がらせを受けない」だけの出費であり恐喝を受けているのと変わらない状況でした。

現在の風俗店と反社会勢力

その後「暴力団対策法」が施行され、どのようなお店であっても暴力団へ金品を供与することは違法とされました。新宿歌舞伎町のような歓楽街でも例外ではなく、お店が「ケツ持ち代」を支払えば摘発されてしまうため、現在、反社会勢力との繋がりを持っているお店は存在しないと言えるでしょう。

昨今は風俗店経営者の中にも有名大学出身者や昼の仕事を辞めて風俗店を開業するなど旨味のあるクリーンな事業として関わる方が増え、従来の風俗業についての「素行不良や社会不適合者の駆け込み寺」のようなダークなイメージは、払しょくされつつあります。

反社会勢力との関りを避けるには

風俗店経営者をはじめ「夜のお店」の経営者には、今でもときどき反社会勢力と思われる人間から「どのような業者と付き合いがあるのか」を探る「営業電話」が架かってくるそうです。警察に通報すれば済む話ですが、通報することによって反社会勢力から目をつけられてしまっても厄介です。

「責任者が不在で」等とやんわりとかわす事をお勧めします。利用客になりすまして女性キャストを軟禁し経営者を呼び出したり、ドライバーを尾行して事務所をつきとめ直接乗り込んできたりする反社会勢力の人間も稀に居るようですが、その場合は迷わず警察に通報すべきです。「暴対法」の施行によって反社会勢力が「夜のお店」から利益を得ること、関りを持つこと自体が摘発の対象となったため、歓楽街で風俗店を経営するからといって反社会勢力と出くわす機会はほとんど無くなりました。