「女性キャストの安全対策について」

風俗経営基礎知識

2021年6月、東京都立川市で風俗店に勤める女性が被害者となった殺人事件が発生しました。被害者女性は接客中のホテル室内に盗撮カメラが仕込まれている事に気付き、プレイを中止して男性スタッフに電話をしたところ逆上した利用客(19歳男性)にナイフで刺殺されました。

また駆け付けた男性スタッフもホテル室内から逃げ出した犯人によってホテル内通路で被害に遭いました。風俗業界にとって非常に痛ましい事件ですが、事件にはならずとも類似したトラブルは多発していますし、いつ自分たちが同様の被害に遭うかもわかりません。こうしたトラブルを未然に防ぐ方法はあるのでしょうか。

事件の詳細

被害者の勤めていた風俗店は、アイマスクで目隠しされた女性を利用客が「夜這い」できる(あくまで疑似)というイメクラ店だったようです。店側が「実際には透けて見えているアイマスク」を装着させる例もあるようですが、女性が目隠しをされている隙に、盗撮行為をする利用客も多いようです。

盗撮されていることが判れば、お店の「違反行為」であるため派遣された女性キャストはプレイを中止してお店に連絡をします。今回の事件の加害者がこの「お店への連絡」に逆上したのであれば、女性キャストは盗撮に気付いたことを隠し「備品の漏れ」や「プレイ終了の連絡」を装ってお店に連絡をすべきだったのかもしれません。しかし、加害者があらかじめ刃物を持参していた事からたとえお店への盗撮の通報が感づかれていなかったとしても、同じように被害に遭っていたかもしれません。

同様の暴力行為を未然に防ぐ最低限の対策

このような暴力行為の被害に遭い易いのは「派遣型」の風俗店です。「店舗型」の風俗店であれば、同じ建物内に男性スタッフが常駐しているため、ある程度の抑止力にはなるでしょう。また、何かトラブルが発生した場合でもすぐに発生場所(店舗)を特定できるため、警察の迅速な対応が期待できます。

しかし、女性キャストと利用客が薄暗い個室内で一定時間、二人きりになる事に変わりはありません。また、ストーカーの様な犯罪行為は、相手に居場所(店舗)が知られているため却って危険です。入口や受付、各部屋への防犯カメラの設置は必須でしょう。一方「派遣型」の場合、「ホテルヘルス」等の対面で受付を行う業態であれば、薬物使用や泥酔状態などの「様子のおかしい」利用客を排除できますが、電話でのみで受付を行うデリヘルでは、これらを完全には防ぐことは出来ません。

素性の分からない男性客と密室で二人きりなる女性キャストのことを考えれば、これほど恐ろしいことはありません。女性キャストが利用客と入室後しばらくの間は、送迎スタッフはトラブルに備え近隣で待機すべきでしょう。トラブルに備える体制作りも大切ですが、未然に防ぐ対策も重要です。

受付時に利用客へ尚一層の注意喚起を行う、HP上に法令順守のお店であり顧問弁護士との契約をしている旨の告知をする等、利用客に「しっかりとした」お店であることをアピールすることが大切です。そのような「しっかりとした」お店には、本番行為などの「違法行為」を狙う利用客は来店しなくなります。何より女性キャストも安心して働けるようになるでしょう。

まとめ

暴力事件が発生するのは風俗業界に限ったことではありませんが、利用客が男性であり接客する側が女性である、一定の時間男女が密室で二人きりになる事を考えれば、暴力事件は発生しやすく、しかも女性キャストが被害者となる事が想定できます。女性キャストが安心して働くことが出来る環境を作ることが、より多く、より良い女性キャストを獲得することに繋がり、ひいては売上の向上にも繋がります。同様の事件が二度と起こらないよう、業界をあげて努めていくべきでしょう

追記

謹んで被害に遭われた女性のご冥福をお祈りし、同様の事件が発生する事のないよう願っております。