今回は昨今、風俗店が相次いで摘発されている現状について解説します。自分と同じ業界で摘発が多発しているなんて聞いたら、何もしていなくてもなんだか緊張しますよね。日本の風俗業界は、長い間独自の文化と経済的な影響力を持ってきましたが、近年では法的な規制が強化され、違法行為に対する取り締まりが厳しくなっています。特に、過去数年間で行われた大規模な「スカウト狩り」や、ホストクラブに通う女性が関連する「ホスト案件」が注目されています。これらの問題は、風俗店が摘発される大きな要因となっており、業界全体に影響を与えています。過去には風俗営業法を遵守していたとしても、過去に「公衆道徳上有害な業務」とみなされる判例が確立されていたこともあるようです。これを聞くと不安になりますよね。本記事の以下では、これらの理由について詳しく解説し、風俗店経営者が注意すべき点についても考察します。
この記事の目次
スカウト業者への取り締まり
何年も前から風俗業界とスカウト業者は取引がありました。密接な関係であることは間違いありません。ですが、その中でも条例違反や違法なスカウト業者の存在も後を絶たず、警察による大規模な作戦が行われました。「迷惑防止条例」が適用されている地域では、路上でのスカウト行為は条例違反となり、罰則が科されます。この条例における「スカウト」とは、特に性的サービスに関する求人活動のことです。また、職業安定法第63条にも違反することとなり、これは日本の労働法の一部で、特に公衆衛生や公衆道徳に有害とされる業務に関連する職業紹介や労働者の募集、供給を行った者に対する刑罰を規定しています。職業安定法第63条についてはこの後の「風俗店経営者への注意点」の章で解説します。この法律の主な目的は、労働市場における公正さと倫理を維持し、社会的に有害とされる職業への不正な労働者供給を防ぐことです。
「スカウト狩り」
「スカウト狩り」とは、数年前に警察が実施した違法なスカウト活動を取り締まる大規模な作戦のことを指します。先ほどお話ししたのがこのスカウト狩りのことです。この作戦により、違法なスカウト業者と関係のある風俗店が明らかにされました。その結果、多くの風俗店が摘発の対象となったのです。摘発されるようなことをしていたのが悪いのですが、こういう話を聞くとあまり良い気分にはなれませんね。
警察の監視強化
警察は、違法なスカウト業者と繋がりのある風俗店を継続的に監視しています。一度警察の目に留まった店舗は、定期的な調査や監視の対象となり、違法行為が発覚すれば即座に摘発されるリスクが高まります。このため、スカウト業者と関わりのある店舗はたとえ違法なスカウト業者だと知らなかったとしても、何もしていなくても、ちょっとしたことで調査が入ったりします。
ホスト案件の増加
近年、女性のホストクラブに通い続ける女性が増えています。ホストクラブで高額な支払いを続けるうちに経済的に困窮し、最終的には風俗店で働くことを余儀なくされるケースが多く見られます。このような女性を受け入れる風俗店は、警察からの監視が強化されています。
借金と風俗業界
ホストクラブに通うために高額な借金を抱えた女性が風俗業界に流れ込むことで、違法な労働環境や人身売買のリスクが高まります。これにより、警察はこれらの問題を防止するために風俗店の監視を強化しており、摘発の頻度も増加しています。
風俗店経営者への注意点
法令順守の重要性や警察からの厳しい継続的な監視への心構えも必要でしょう。ですが、あまり怖がらなくても大丈夫です。普通に手続きをして、普通に求人をしてスタッフやキャストを雇っていれば何も問題もありません。監視されるのは怪しいとみなされたお店のみ。
法令順守の重要性
風俗店経営者や従業員は、法令を順守し、倫理的な経営を心掛けることが求められます。特に、違法なスカウト活動や借金を理由にした労働の強制といった問題に対しては、厳しい監視と取り締まりが行われるため、これらのリスクを回避することが重要です。
継続的な監視の覚悟
一度警察の目に留まると、風俗店は継続的な監視の対象となります。このため、過去の違法行為やスカウト業者との関係を清算し、クリーンな経営を行うことが不可欠です。風俗店経営者は、今後ますます厳しくなる監視体制に対応するために、適切な対策を講じる必要があります。
以上の理由から、風俗店の摘発が相次いでいる現状が続いています。風俗店経営者や従業員は、法令順守と倫理的な経営を心掛けることが今後ますます重要となるでしょう。
職業安定法第63条の内容
職業安定法第63条は、日本の労働法の一部であり、特に公衆衛生や公衆道徳に有害とされる業務に関連する職業紹介や労働者の募集、供給を行った者に対する刑罰を規定しています。この法律の主な目的は、労働市場における公正さと倫理を維持し、社会的に有害とされる職業への不正な労働者供給を防ぐことです。
「公衆道徳上有害な業務」とは
「公衆道徳上有害な業務」とは、社会の共同生活で守られるべき道徳を損なう業務を指します。ソープランド、ファッションヘルス、ストリップ、アダルトビデオなどの性産業については、売春防止法に違反しないよう性交類似行為に留め、風俗営業法を遵守していたとしても、過去に「公衆道徳上有害な業務」とみなされる判例が確立されています。
ですので風俗経営者の方々はかなり注意し経営していかなければならないことを忘れないでください。
風俗店は全て有害な業務なのか?
風営法に従って適法に届出を行っている風俗店は、果たして有害な業務に該当するのか疑問が生まれるでしょう。「有害な業務」とは、社会の一般的な道徳観念に反する業務を指し、労働者の保護や良好な風俗の維持という観点から判断されます。とてもあいまいというか、わかりにくいですよね。ということは「監視する警察のさじ加減で変わるかもしれない」と思っておいた方が良いということです。
風俗店の経営者が、自身の店舗の求人を行ったことで職業安定法違反により逮捕された事例も過去に存在します。これはちょっと怖いですよね。
法令順守していたとしてもこういったリスクが伴うとういことです。
ですが、ほとんどの事例では法令違反とみなされるようなことを実際に行っていたようです。検索してみると出てきますので気になる方は「公衆道徳上有害な業務とは」「公衆道徳上有害な業務 風俗」などと調べてみてください。
有害な業務の求人募集?
職業安定法第63条第2号では、有害な業務に従事させる目的での労働者募集を禁止しています。ということはやはり性風俗店の求人募集というだけで有害とみなされるのか。ここで言う「労働者の募集」とは、雇用者が自ら、または他人に依頼して、働き手となる人を勧誘することを指します(職業安定法第4条第5項)。また、第四条では(定義)第四条 省略。
この法律において「労働者の募集」とは、労働者を雇用しようとする者が、自ら又は他人に委託して、労働者となろうとする者に対し、その被用者となることを勧誘することをいう。としています。
この「勧誘」とは、働き手になろうとする人に対して、雇用されるように積極的にすすめたり、誘ったりする行為を指します。単なる面接や雇用条件の説明といった、労働契約を結ぶ際に通常行われる行為は、特別な事情(例えば、面接中に積極的に勧誘したり、雇用条件を偽ったりする場合)を除いて、勧誘には含まれません。つまり、これらの通常の行為が働き手になろうとする人の意思決定に影響を与えたとしても、勧誘とみなされないとされているのです。(大阪高等裁判所平成3年5月9日判決)